命はひとつきりで、必殺技なんてない。
 俺たちが否応なく受け入れているこの状況では、片時も用心を怠ることが出来ない。何かの兆候を見逃せば忽ち困難が訪れ、命の危険が迫っても自在に繰り出せる必殺の技はない。雨水で体を洗った後、俺とルメイは半裸で竈の火にあたっている。無防備に見えるが、そばに武器と盾が置いてあり、いざとなったら裸でも戦う積りだ。いつもふざけているルメイでさえ、据わった目付きで森の奥をちらちらと見ている。


 火にかけた鍋を俺たちに任せ、フィアも武装を解いた。
 手首の一振りでバックルを次々と外し、あっという間に特注の革鎧を脱ぐ。ブーツも脱いで靴底を木の幹にぶつけ、泥を払ってから雨のあたらない場所に立てかける。髪を結わいた細紐を外し、湿気にごわつく金髪を頭を振ってほぐしている。フィアは高貴な身分に生まれついたが、その後の人生を森で過ごしてきたので実にきびきびとしている。


 フィアは俺たちの目の前でキルティングの亜麻服を脱ぐと、服をざっと畳んで自分の荷物の上に乗せた。そしてシュミーズとパンタレットだけの姿で大股に雨の中に歩み出た。目隠しに垂らした帆布の向こうに立ち、張り渡した紐に脱いだ下着をばさっと引っかけている。濡れるに任せるということは、この場で洗ってしまうのか。そういえばフィアは替えの服を持っているのだった。
 俺はフィアを女として見ないように気を付けているが、体を折り曲げて亜麻服を脱いだ時に目に入った脇腹の白さが目に焼き付いている。その白さを反芻しながら、闇の向こうから重なり合って響いてくる無数の水滴の音に耳を澄ませている。


 俺は竈の炎に向かって突き出した手を擦り合せながら、生きている実感を噛みしめた。濡れたままの肌をさらしている背中はひんやりとしているが、足元で鍋が沸騰していて、腿から下腹にかけて熱い湯気がもうもうと巻き上がっている。森の空気は冷えてきたが、帆布で囲った寝床には白湯の沸く匂いが充満している。
 鍋から立ち上がる蒸気が直接あたる部分の肌は薄皮一枚分だけ別物になったような熱さで、熱をなじませるのにたびたび腿を擦った。俺の脚はこうして今も生きており、すなわち、俺は全身に血を巡らせて生き永らえている。


 冒険者になる前、街で暮らしている頃はこんな気持ちになることはなかった。朝はベッドで目を覚まして職場に赴き、夕方には自室に戻った。飯の心配をしたことはなく、明日は当然訪れる筈のものであった。
 冒険者になりたての頃も、危険を察知することなくぼんやりと古株の指示に従っていた。高い塔を建て、馬車に乗り、王冠を頂く者を金貨に鋳造する世の中になっても、雨が降れば死ぬ人もいるということを肌身をもって理解していなかった。今なら判る。かつて所属していたロック隊長の率いるパーティーで、俺たちはウィリーの助言で雨に濡れるのを何度も回避していた。


 帆布で念入りに囲った寝床の頭側には、一抱えはある袋が二つ寝せてある。
 フィアが機転を利かせて乾燥した枯葉を底に敷き詰めていたが、運んでいるうちに切り口から血が流れたようで、袋の底がわずかに赤黒く汚れている。人間の頭部は相当な重さがある筈で、ルメイは文句ひとつ言わずに運んできたが、ここで休めてほっとしているかもしれない。重量物を運ぶのは単純な荷役だが、探索行をする上では重要な任務だ。フィアのように器用なメンバーも重宝するが、そればかりでは旅は続けられない。


「振り向かないでね」
 背後からフィアの声がした。盛んに手を擦り合せていたルメイはおどけた顔をして頭を振っている。聞こえもしない酒場の歌に合わせて体を揺すっているかのようだ。深い森の中で雨に足止めされているというのに、ルメイと一緒にいると何となく愉快な気持ちになる。フィアが髪を叩くようにして水気を取っている音が聞こえる。髪が濡れているうちは替えの服も身に着けていないだろう。若い女の裸は見てみたいが、それがパーティーメンバーならやめておこう。


 フィアはずっと一人で探索をしていたようだが、オオルリコガネの森を見つけて仲間を探す決心をした。なんとしても黄金の森をものにしたかったのだろう。そうして俺とルメイを見出したわけだが、危ない橋を渡ったものだ。俺も一時期はあちこちのパーティーに参加していたから判るが、フィアのような女の冒険者が活躍できるパーティーは滅多にない。俺とルメイをなぜ選んだのか、聞いてみたくなる。


 パーティーにはフィアの能力が必要であり、それを十分に活かすには個人的なしがらみがあってはならない。ましてリーダーである俺は目的を達するために自分の感情を抑えなければならない。酒場にいる女をじろじろ見るような目でフィアを眺めることは許されないのだ。それが出来なければパーティーはやがて機能しなくなり、解体する。解体したのが森のただ中であれば、そのパーティーは全員死ぬ。


 そして、我が友ルメイは明朗な男である。
 明朗さは不道徳と相容れない。心の狭い自分本位な人間は、朗らかにはなれない。それは些細な損得を越えた先にあるのだ。そうして考えてみれば、明朗さとはその時その時の気分ではなく、強い心に裏打ちされた高尚な状態であることが判る。であるからして、ルメイも決して振り向かない。男二人が竈に向かって手を擦り合わせている間に、フィアは身支度を整えた。


「俺は虹羽根を売った金で替えの服を買う」
 寒くもないだろうに鼻をすするような音をさせながらルメイが言う。俺とルメイは一着きりのキルティング服を竈の火で乾かしているので半裸だ。帆布を敷いた地べたに座り込んでいるのでなんとも貧相ななりをしている。
「それがいいわ」
 乾いた服に着替えたフィアが涼しい顔をして塩漬肉を細切りにしている。半分を鍋に入れ、脂身の多い方をフライパンに乗せている。ジューという低い音と、香ばしい匂いが辺りにひろがった。


 フィアが鍋に豆を入れるのをじっと眺める。
 口を開けた麻袋に手を突っ込んで豆を取り、空中で何かをほぐすような手捌きで鍋に足している。薄茶色から薄緑まで微妙に色合いの違う平らな豆が踊りながら湯の中に落ちていく。次いで、摘まんだ塩を目分量で鍋に落としている。フィアは昼飯を具沢山のスープにする積りのようだ。今朝から体を動かし続けているから、腹をくちくしなければならない。そういうことだろう。監視の目が被らないように俺と背中合わせに腰を下ろしたルメイがくんくんと鼻を鳴らしている。


 フライパンで脂のはぜる音がすると、互いの背中に寄りかかっていたルメイがたまらず振り向いた。壁が動くから俺までぐらついて調子がくるう。
「フィアはどこで料理を覚えたんだい?」
 フライパンを揺すっているフィアを肩越しに見ながら、ルメイが明るい声で問うた。フィアは塩漬肉から溶け出した脂でガーリックの薄切りとソラマメを炒めている。熱い肉汁に塩を振っているのが見えて、こっちまでそわそわしてくる。
「半分は爺じから。あと半分は我流よ」
 料理をしている時のフィアは上機嫌で、鼻歌まじりだ。


 二人分の料理をフィアが俺たちのところまで持ってきてくれた。
 足元がふかふかして豆のスープが入ったカップが安定しないので、丸盾を平らに置いて即席のテーブルにした。身の回りに完全な平面の物が盾しかなかったのだ。俺とルメイは兄弟のように並んで料理皿を受け取った。木皿に盛られているのはソラマメと塩漬肉のガーリック炒めだ。フライパンから出したばかりの熱々で、こんもり山盛りになっている。俺は木のスプーンでソラマメに肉汁をまぶしながら、鼻を寄せて匂いをかいだ。高温の脂が出す香ばしい匂いに塩気が混じっている。焦げたガーリックの匂いもたまらない。行儀わるく皿の端からかっこむようにして料理を口にする。


「夕飯はスープの残りとビスケットで我慢してね」
 フィアが自分の食べる分を作りながら声をかけてくる。ルメイは今が満足ならそれで構わないらしく、料理を頬張ったまま鷹揚に頷いている。俺は湯気の立つカップからスープをすすり、底にたまったレンズ豆をスプーンですくって食べた。塩加減が少し足りないような気もするが、その分ほくほくとした豆の甘さが口にひろがる。
「ソラマメもスープも美味いよ。いつもありがとう、フィア」
 両方の口角をあげたフィアが振り向いて嬉しそうに笑った。
「どういたしまして。後で食べられる物がないか近くを探してみるね」
 手を止め、料理から目を離して周囲の闇に目を走らせた。ルメイの言う通り、ここには隔てるものが何もない。今夜は交替で寝ずの番をしなければならないだろう。


 ルメイがいち早く食事を終え、俺の分も含めて食器を洗っている。フィアは竈のそばで自分の作った物を食べながら後片付けを始めている。俺は座り込んで頭上の暗がりにぶらさがった虹羽根を眺めている。
 おそらくまだ昼過ぎで、明日の朝までここで時間を潰さねばならない。何をして過ごせば良いのだろう。じっとしているだけで良いなら一見楽なように思えるが、探索行で時間に倦むのは危険なことだ。暇を持て余した人間はろくなことをしない。かつて所属していたパーティーでも、諍いはたいてい待ち時間に起きた。


「帆布と蜜蝋はまだ残ってるかな?」
 雨だれの水流で皿を濯いでいたルメイに声をかける。ルメイは両手で持った皿を勢いよく上下に振って水気を切りながら答える。
「蜜蝋はまだ半分以上残ってるよ」
 竈の前にぺたんと座っていたフィアがなかば振り向いた。口をもぐもぐと動かして呑み込んでから俺の方を見返す。子供じみた動作で愛嬌がある。
「帆布は残りわずかね」
「そうか。フィアは食べ物を探すと言うし、俺ももう少し柴を刈りたいんだが、いちいち濡れると厄介だ。頭からかぶる雨具を即席で作れないかな?」


 作れない筈がない。
 食事の片づけを終えたフィアとルメイが、残りの帆布を広げて墨の欠片で型取りをした。フィアが糸切ばさみで器用に裁断して縫いあげた。ルメイがその表面にまんべんなく蜜蝋を塗りひろげる。試しにフィアにかぶってもらうと、頭を三角のフードが覆い、そのまま腰の辺りまで垂れさがる雨具ができた。
「魔法使いのローブみたいね」
 神妙な顔をしたフィアが雨具をかぶった自分の身体を見下ろしている。


 もう少し時間がかかると思っていたが、すんなりとできてしまった。
「二人とも器用だな」
 蜜蝋を塗り重ねているルメイが照れながら、いやそうでもないさ、と後ろ頭を掻いている。
「器用なのはフィアだよ。こういうことをやらせたら手際がいいよな」
 フィアは蜜蝋が塗りやすいように生地を押さえながら微笑んでいる。よし、これでいいか、とルメイが雨具を持ち上げた。それを借りて、さっそく柴刈りに出た。


 森の中で雨に降り込められ、時間の感覚が狂ってくる。
 雨具のお蔭で濡れずに済んだが、どれくらいの時間が過ぎたのか判らない。両手一杯の柴を寝床の拠点まで持ち帰ると、入れ替わりにフィアが食べ物を探しに出かけた。フィアの去って行った方を眺めると、手にした松明がそう遠くない範囲をうろついているのが見えた。俺は虹羽根に蜜蝋を塗っていたルメイの手伝いをしたが、ほとんど終わりにさしかかった頃にフィアが帰ってきた。まだ午後の早い時間か、それとも夕暮れ時なのかはっきりしない。


「これ見て、大漁よ」
 フィアが手にした物を捧げるようにして差し出した。雫の形をした緑の葉は見覚えがある。これはクマニラだ。他にも白っぽい色をしたキノコがある。足の親指のような形をしていて、丸まった先っちょが黄色く色づいている。フィアが選ってきたのだから食べられるのだろうが、俺には何のキノコか見分けがつかない。いずれも麻袋に一杯採れていて、夕飯が楽しみだ。


「その辺に生えてるキノコを食っても大丈夫なのか?」
 いつも食うことばかり気にしているルメイが疑わしい目をしてフィアに尋ねている。水を弾く雨具をかぶったままのフィアを松明が照らしていて、その影の奥でフィアがにっと笑うのが見えた。
「裂いて塩焼きにすると美味しいんだけど、ルメイは遠慮しとく?」
 ルメイが咳払いをして、それならまあ頂こう、と呟いている。フィアが肩を揺らして笑いながら袋を突きだすと、ルメイは大事そうに受け取って鼻を寄せた。小首を傾げながらも、竈のそばの乾いた場所にそれを丁寧な手つきで置いた。


 フィアが雨具の水滴を外に向かって払い、火のそばに吊るした。ルメイが生首の入った袋を持ち上げ、血の染みが見えなくなるように向きを変えるのを俺は黙って見ていた。それから三人で寝床の真ん中あたりに集まって座り込んだ。
「ところでどれくらい経ったのかしら?」
 フィアの問いに誰も答えることができず、互いの顔を見合った。
「まだ午後の早い時間かもしれんな」
 俺が真面目くさって答えると、ルメイが一声唸ってから、まったく判らん、と言う。三人それぞれ森に目をやるが、暗がりに水滴の落ちる音が響き渡っているだけだ。空を見上げると暗い雲が低く棚引いているのが見える。まだ日没はしていないようだ。


 背伸びをして体をひねったルメイが眠そうな声を出した。
「こんな時間から寝るわけにもいかんしな」
 夜は交替で寝ずの番をしなければならないとは思っていたが、さすがにこの時間からでは早過ぎる。といっても雨の中でやれることは少なく、どうにも困った。
「フィアは本を持ってなかった? 確か『スキールニルの旅』だったと思うけど」
 頬杖をついていたルメイが横目でフィアを見た。
「持ってるけど?」
 フィアもどこか気だるそうに答えている。
「読んでくれないか?」
 フィアは喉に何かつかえたかのように首をすっと伸ばすと、じっと考えている。そのほっそりとした首筋に、オロンゾの短刀でつけられた傷が瘡蓋になって残っている。


 やがてフィアは唇を引き結んで小さく首を振った。
「あれは余りロマンチックじゃないの」
 ルメイが溜息まじりに、ロマンチックねえ、と呟く。この物憂げな雰囲気はどうしたことか。俺が魔法使いなら雲を一掃して晴れ渡らせ、意気揚々と旅を再開するだろう。しかし俺はマナを自在には操れず、雨の中でじっとしているしかない。
「どんな話なの?」
 ルメイが重ねて問うと、フィアは額に指をあてて目をつぶった。


「豊穣の神にして絶世の美男フレイが、敵対する巨人族の娘に恋をするの」
 ルメイがつとフィアを見返して、ロマンチックじゃないか、と言う。フィアは首を振って片手を振ると、最後まで聞いて、と続ける。
「フレイは親しい従者に、自分の気持ちを娘に伝えて夫婦になってくれと頼む役目を与えるの。厄介な仕事を引き受けたスキールニルはその褒美として、巨人を倒す剣と、炎を飛び越える馬を手に入れる」
 ルメイはふんふんと言って聞いているが、俺はこういう話が苦手だ。馬が炎を飛び越えるわけがないではないか。


「スキールニルが苦労して巨人の国に辿り付き、フレイが惚れた娘に話をするのだけど、けんもほろろに断られる。娘の名はゲルズといって、立派な御屋敷に住んでいるの。だから黄金の林檎をあげると言われてもなびかなかったのね」
 ルメイが小刻みに頷きながら、わかったぞ、と言う。
「そこでその男は主の事を、ある事ない事ほめそやすんだな?」
 渋い笑顔を浮かべたフィアが、そう思うでしょう? と受けた。
「でも違うの。いう事を聞かないなら首を切落とす! と脅すの」
 いきなり剣呑な話になった。フィアが話の筋を思い出している間、雨の音と薪の燃えるパチパチという音が静かに響いた。俺は二人に気付かれないようにそっと、切落とされたサッコとオロンゾの首が入った袋を横目で眺めた。


「気丈な娘ゲルズは脅しに屈せず、『父がこの話を聞いたらあなたは殺されるでしょう』とやり返す。ゲルズの父はギュミル、海を意味する名前だわ」
 今さらながら、フィアが話しているのが豊穣の神とその妻の話だということに気付いた。故郷の家の暖炉には二人のレリーフがはめ込まれている。それが豊かな家庭の象徴であることを、子供の頃に祖父から何度も聞かされている。
「そこから先は延々、スキールニルの呪いの言葉が続くの」
 フィアはしたり顔でルメイを見返した。


「まずはフレイから授かった巨人殺しの剣を抜いてみせ、あなたの父はこの剣で殺される運命だ、と言い放つ。そしてゲルズ本人には、魔法をかけて醜い姿に変え、さらし者にすると脅すの」
 ルメイは、困ったね、という顔でフィアの話を聞いている。
「スキールニルいわく、ゲルズは捕らわれ人になって、意地悪な悪霊に毎日つつかれる。絶望と共に干し草置場に放り込まれて踏みしだかれる。神々の怒りをかって破滅する。そしてご丁寧に目の前で、呪いの文字を刻んでみせるの。ゲルズにかけられた呪いは、憧れと戯言、そして欲望」
 ルメイが目を細め、やり過ぎじゃないの? と呟いた。フィアが、その通りよ、と言いたげに頷いてみせた。


「ゲルズは恐ろしくなって呪いを解いてもらう。そしてとうとう降参して、フレイの妻になることを受け入れる。スキールニルが念押しでそれはいつかと問うと、九夜たったらバルの森でフレイに身を捧げると約束するの」
 あまりの強引さに笑ってしまう。仲睦まじい夫婦となったフレイとゲルズのなれ初めは、随分と荒っぽかったようだ。
「さっそく国もとに帰ったスキールニルの報告を聞いてフレイが言ったのが、九夜とは長いなあ!」
 フィアは俺とルメイの顔を交互に見てから、首を振り振り言い添えた。
「初めて読んだ時のわたしの失望がわかる? 大枚はたいたのに」
 ルメイが膝を叩いて笑いを漏らした。


 長い探索行にこんな時間があってもいい。
 だが俺は二人に、特にフィアに話しておかなければならないことがある。首を切落とす、という言葉がそれを思い出させたのだ。フィアが話して聞かせてくれた物語の余韻に浸りながら、その思いが腹の底から俺を突きあげてきた。時間が経てば経つほど話しづらくなるだろう。二人のどちらかが話の接ぎ穂をする前に自分から切り出さねばならない。足元を見下ろしながら焦燥しているところへ、フィアが声をかけてきた。
「セネカは何かお話することないの?」
 よほど険しい目をしていたのだろう。すっと上げた俺の顔を見て、フィアが一瞬たじろいだ。


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