俺とルメイとフィア姫の冒険 |
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我が友ルメイが日記をつける習慣をもっていたので、この物語を初めから最後まで書くことができた。それがなかったらここに書いたことは半分になってしまっていただろう。仲間を探しにイルファーロの街へ行くと決めた朝、心の中にはただ不安しかなかった。俺の覚えていることと言ったら、それくらいのものだ。 イルファーロの酒場で、フィアと出会った。 俺と、ルメイと、フィアの人生がそこで合流したのだ。今から思えば信じられない幸運だった。この裏切りにあふれた剣呑な時代に、薄情な奴は掃いて捨てるほどいるが、仲間と呼ぶにふさわしい相手にはそうそう出会えるものではない。王族が殺し合い、官吏は賄賂を取り、山賊が野山をうろつくこんなご時世だからこそ、心をひとつに出来る者と出会い、一緒に歩むことが出来たなら、笑うにつけ泣くにつけ生きる甲斐があるというものだ。 前置きはこれくらいにして、本題に入るとしよう。 俺とルメイとフィアの冒険は、ある日の朝、スラムの薄汚れた馬小屋で、こんな風に幕を開いたのだ。 |